日本の長距離列車の頂点に君臨する寝台特急カシオペアに乗車する機会をついに得ました.私の鉄道乗車記としても史上最高のクドさになっています.本当に寝てる暇がなく,徹底した乗車記をと意気込んだら大長編の自己満ログとなりました.渾身のレポートにお付き合い下さい.
というのはつまり,車窓から見る星空のことです.ディナーよりも客室の間取りよりも何よりも,これがカシオペアの旅の中で一番印象に残るシーンでした. 上野を発った時は曇っていたものの,福島に入る辺りから次第に雲が取れ,仙台を過ぎディナーを終えて部屋に戻る頃にはすっかり快晴の夜空.最初は室内の明かりが窓に反射して分からなかったんですが,眠たそうな嫁に合わせて明かりを消した瞬間,窓一面に広がる満天の星空に圧倒されました. 田畑,森林,山の端といった風景が流れるその上に,昇ってきたばかりの冬の星座が煌々と輝いてます.この列車は窓の大きさがウリのひとつでもあるので,ベッドに横たわって列車の揺れに身を任せ眼前に広がる星空を眺めていると,宇宙空間を走っているかのような「リアル銀河鉄道の夜」が味わえます.こんなシチュエーションが待っていようとは,乗車前には全く想像しませんでした.
あまりに出来すぎててウソっぽささえ感じる画に半笑いでしたが,ホントです.しかし悔しいかな,どうやってもその画をカメラに収めることが出来ませんでした.疾走する列車の中でブレなく長時間露出させるなんざ無理無茶無謀.何度もトライしましたが一枚とて満足に映ってませんでした.
なので,左の写真は「イメージ」です.肉眼で,本当にこういう景色が見れます.
去年,サンライズ瀬戸に乗った時も,大きな窓から見上げる星空を楽しんだけど,思えばあれは東海道〜京都〜大阪〜岡山〜香川という,イマイチ空気の澄み切らない海沿いを走るので,星空がボヤけてました.その点カシオペアは言うことなし.栃木北部あたりまで行ってしまえば,あとはずっと都市部以外は素晴らしいシーイングが続きます. そして,乗る時期も良かった.1年のうちで星空が最も美しく華やかなのが冬であることはご存じの通り.札幌行きのカシオペアの場合,進行方向右側すなわち東側に客室があるので,その方向に冬の星座が出ていることが第一条件.第二の条件は,空気が澄んでるエリアで東の空に冬の星座が出ていること.つまり発車間もないうちにそれらの星座が出ていると,見頃の場所に来る頃には星座が昇りすぎて客室から見えなくなります.この2つの条件を満たすのは,すなわち今の時期だということ.そして当然ながら,晴天に恵まれることも重要な条件. 本当に,色々とツイてました. なーんて分かった風なことをイロイロ言っておきながら,今回の「見どころ」は結局は予想外のことだったわけで,他の時期に乗ったら乗ったで,その時じゃないと気付かない良さがきっとあると思いますけどね.