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研究紹介

研究プロジェクト

地球深部物質(核・マントル)の輸送特性(電気抵抗率・熱伝導度・ゼーベック係数)


地球深部の模式図 (Wikimedia commons)

地球の中心部分には、鉄を主要元素とする金属核が存在します。 金属核の中心部分の固体内核と、その周囲の液体の外核に分かれています。 更に金属核の周囲は、ケイ酸塩鉱物によるマントルが存在しています。 この核・マントル境界は、135万気圧、約3500℃の高圧・高温状態になっています。 この様な高圧・高温状態における鉄合金・ケイ酸塩の物理的性質を明らかにすることは地球科学における重要な問題です。 その中でも、私は輸送特性(電気抵抗率・熱伝導度・ゼーベック係数)に興味を持っています。

研究手法

第一原理計算

PC cluster
20並列PCクラスタ

結晶の物理的性質を物質の電子状態から計算する第一原理計算という手法があります。 密度汎関数理論(Density Functional Theory; DFT)に基づいたソフトウエアパッケージは、多くの種類が知られていますが、私は以下のパッケージの使用経験があります。

特にAkaiKKRを良く利用させていただいています。 このパッケージは、コヒーレントポテンシャル近似(Coherent Potential Approximation; CPA)を利用することによって、化学的・磁気的な不規則を取り込んだ計算を行うことができる点が特徴的です。 地球深部は、主要元素に加えて多くの不純物元素を含む固溶体であると考えられているため、応用範囲は極めて広いと考えています。

高圧実験

DAC
ダイヤモンドアンビルセル

高圧実験を行うための実験装置にも色々な種類がありますが、私が使用経験があるのはダイヤモンドアンビルセル装置(Diamond anvil-cell; DAC)と呼ばれるものです。

手のひらサイズの実験装置でありながら、地球の中心部分である365万気圧を超える圧力を発生させることができす。 装置内部には対向する2個のダイヤモンド製のアンビル(原義は金床の意。転じて高圧装置で試料を圧縮するための堅い物質の事。)が入っています。

写真は、試料の電気抵抗を測定しているところです。 右側から出ている4本の電線がデジタルマルチメータに接続されています。

アンビル材となっているダイヤモンドは、可視光やX線など様々な波長の光を透過するため、電気抵抗測定以外にも実験の応用範囲は広いです。